遺言書を残しておく理由は様々です。

例えば、老後の介護をしてくれた子どもの貢献に報いるために、遺言書を作成する場合もあります。

今回は、遺言書の作成方法から遺留分などの注意点まで解説します。

介護に貢献した娘がいる場合

例えば、Aさんは妻Bさん、子供はCさん、Dさんの4人家族だったとします。

ただし、Aさんは妻Bさんと長期間別居中、息子Cさんは成人後一切Aさんとは無関係で、老後の介護は娘Cさんが一切を行っていたと仮定します。

ここで、Aさんが遺言書を残さないで亡くなった場合、法定相続分では、Aさんの財産は、Bさんが1/2、Cさんが1/4、Dさんが1/4で相続することになります。

よって、老後の介護の一切を行ったCさんの取り分は、妻としての務めを果たさなかったBさんの半分で、成人後はAさんと全く無関係であったDさんと同じ割合になります。

また、仮に遺産分割協議が開かれたとしても、遺産分割協議では、Bさん、Cさん、Dさん全員の同意がないと成立しないため、どうしても法定相続分に近い相続分で合意される傾向があります。

この場合でも、介護の一切を行なったCさんの相続分は不当に少ないものになる可能性があります。

介護に貢献した娘がいる場合の遺言書の書き方

そこで、この場合に、Aさんが、Aさんの死後、介護の一切を行ってくれているCさんの功績に見合う分の遺産を受け取れるように、遺言書を作成しておけば、介護を頑張っているCさんが損をすることはありません。

この場合には、相続財産に対するCさん取り分を法定相続分より多く、BおよびDのそれより取り分を少なくした相続分を指定した遺言書を作成します。

例えば、Cさんの取り分を5/8とし、Bさんの取り分を2/8、Dさんの取り分を1/8としておきます。

公正証書遺言書が安心

遺言書には各種の方式がありますが、その中に公正証書遺言があります。

この遺言書は、被相続人が一定の方式に従って作成した遺言書を公証人が認証した上、相続が開始するまで公証役場に保管するというものです。

公正証書遺言は、費用がかかりますが、作成及び保管に公証人(公証役場)が関わるため、遺言書の偽造や変造の可能性が極めて低いです。

そのため、他の遺言書と比較して、被相続人の意思を最も正確に相続人に伝達できる遺言書といえます。

遺留分には要注意

なお、法定相続分には法定相続分の1/2の遺留分があります。

この遺留分を侵害する相続分の指定がされた場合、遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求権を行使して、自らの遺留分を取戻すことができます。

遺留分の具体例

上記の例では、介護に全く貢献しなかったからと言って、Aさんが娘さんに遺産の全部を譲り、残りの2人には0だという遺言が残されたとしましょう。

しかし、この場合には、残りの2人は、遺留分減殺請求権を行使して、遺留分を取戻すことができます。

なお、遺留分は、法定相続分の1/2ですから、妻のBさんの遺留分は1/2×1/2=1/4、息子のDさんの遺留分は1/4×1/2=1/8となります。

身寄りのない方の遺言書の書き方について

身寄りのない方が亡くなった場合、特別縁故者が居ない場合には、その方の財産は国庫に帰属します。

しかし、例えば、身寄りのない方が遺言書により、死後に財産を社会福祉事業やその他の慈善事業に寄付するというような意思を残しておけば、国庫に帰属するよりは、故人の意思を反映できます。

遺言執行者を指定しておくべき

その際には、遺言執行者を指定しておくとよいです。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な行為や手続きをする人のことを言います。

普通は遺言執行は相続人が行いますが、身寄りのない方の場合相続人がおりませんから、遺言執行者がいないと遺言内容が実現しません。

なお、遺言執行者の報酬や執行のための費用については、相続財産の中から支弁されることになっています。

ですので、被相続人は、遺言執行者の報酬等について心配する必要はありません。

まとめ

今回は、遺言書の作成方法について説明していきました。

遺言書は、公正証書遺言書として残しておくのがオススメです。

また、遺留分を考慮した配分比率にすべきでしょう。

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