相続が開始した場合、相続人が誰なのかを最初に確定しなくてはなりません。
そのための手続きを相続人調査といいます。
そもそも、相続人が誰なのか決まらない限り、遺産分割や相続税などに移ることはできません。
今回は、相続人調査について説明します。
相続人調査は相続の極めて重要な手続き!
被相続人に遺言書がない場合、原則として、遺産は相続人による遺産分割協議によりその分配を決めます。
この遺産分割協議は、相続人全員で行わなくては有効ではありません。
よって、分割協議の後に新たな相続人の存在が明らかになった場合には、一度決まった協議をやり直さなくてはなりません。
また、遺産分割協議を行わない場合でも、遺産配分が決まった後に、後から新たな相続人が現れて、その者が自らの権利を主張したりすると非常に厄介なことになります。
相続が開始したら、まず相続人調査を行い、相続人を確定する作業は極めて重要です。
出生から死亡までの戸籍謄本を集める??
相続人調査は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本)を、間断なく収集することにより行います。
結婚や転籍などで、戸籍は一生の間で何回も変わります。
被相続人の一生の身分変動がすべて明らかにできるように、被相続人に関係のある戸籍をすべて集めます。
そうすれば、被相続人が認知した子や、小さいころに養子に出された兄弟姉妹などがいる場合でも、それらの相続人を見逃すことはありません。
このように、被相続人に係る戸籍謄本のすべてを収取して、相続人をもれなく確認する作業が相続人調査となります。
相続関係説明図
相続人調査で収集した被相続人に係る戸籍謄本や除籍謄本は、相続登記の際の添付書類に使用します。
ただし、戸籍謄本や除籍謄本は、相続登記だけでなく、預金通帳や自動車の名義変更手続き、相続税の確定申告の手続き、遺族年金の請求手続き、などの他の手続きにも使用します。
相続登記の際に、添付書類として戸籍謄本などを提出するとそれらは返ってきません。
よって、他の手続きのために再度同じ書類を入手しなくてはならず、手数料がかかります。
特例的に相続関係説明図を添付すれば戸籍謄本が返ってくる!
しかし、被相続人の相続人が一目で分かるように図式化した相続関係説明図を添付すれば、戸籍謄本等の原本の還付を特例的に受けることができます。
登記申請書を法務局に提出する際、登記申請書の添付書類である戸籍謄本や除籍謄本に、相続関係説明図を添えて提出しましょう。
そうすれば、登記官の調査が終了すると、戸籍謄本と除籍謄本の返却が可能です。
返却された書面は、通帳の名義変更や相続税の申告など他の手続に使用することができます。
相続人調査を専門家に依頼する場合について
相続人調査や相続関係説明図は、相続人に方が自ら行うこともできます。
しかし、複雑な相続の場合には、専門家である行政書士に依頼した方がよい場合があります。
専門家に依頼すると、手数料はかかりますが、相続人調査や相続関係図の作成を正確・迅速に行うことができます。
まとめ
今回は、相続人調査についてお話していきました。
相続人調査とは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集める作業のことを指します。
場合によっては遠出する必要もあるかもしれませんが、絶対に必要な手続きですので、サボらずにすべての戸籍謄本を集めるようにしましょう。