相続人がいない場合、相続人の不存在という状況に陥ります。
その場合、被相続人と関わりが深い特別縁故者が、遺産を受け取ることができる可能性があります。
今回は、特別縁故者の相続について考えていきます。
特別縁故者は必ず遺産を受け取れるわけではない?
被相続人と生計を同じくしていた内縁の妻等は、特別縁故者に該当し、被相続人の遺産を受け取れる可能性があります。
しかし、受け取れるかどうかは、家庭裁判所の審判で決まります。
ですので、特別縁故者といって、必ず受け取れるという保障はありません。
特別縁故者を相続人になるための手続き
相続人が不明な場合、又は相続人の全員が放棄した場合には、検察官又は利害関係人は家庭裁判所に相続財産管理人の選任請求を行うことができます。
すると、家庭裁判所が相続財産管理人を選任し、被相続人の財産は法人となり、相続財産管理人が相続財産を管理します。
相続財産管理人は、一定期間、被相続人の債権者(相続債権者)だった者又は被相続人から遺言により贈与を受ける者(受遺者)に対して、申し出るべき旨を公告します。
そして、相続債権者や受遺者の申出があった場合には、その者に対する清算を行います。
なお、相続人が不明の場合には、清算手続きと同時に相続人に対する公告を行い、当初の期間と合わせて10ヵ月以上の公告期間を経ても、相続人が出現しない場合には、相続人の不存在が確定し、次のプロセスに進みます。
特別縁故者への財産分与について
相続債権者や受遺者に対する清算の後、相続人の不存在も確定している場合で、残余の財産があれば、これが特別縁故者に分け与えられる可能性のある財産となります。
特別縁故者が残余財産の分配を受けるためには、特別縁故者自身が家庭裁判所に対して財産分与の請求をしなくてはなりません。
その後、家庭裁判所が財産分与の正当性を判断して初めて、特別縁故者は財産分与を受けることができるようになります。
該当する人物が見つからない場合、すべてが国の財産になる
それでもなお、被相続人の遺産に残余がある場合には、この残余財産は国庫に帰属します。
最終的に持ち主の定まらなかった遺産は国家の財産になります。
相続人が不明の場合や相続人全員が遺産を放棄した場合の手続きは、民法第951条から第959条において定められています。
興味のある方は、一度ご覧いただけると、理解が深まります。
まとめ
今回は、特別縁故者の相続についてお話していきました。
特別縁故者が相続人になるためには、非常に複雑な手続きを通さなくてはいけません。
今回のケースに該当する場合は、素直に専門家の助けを借りることをオススメします。