贈与した年の1月1日時点で60歳以上の父母や祖父母が、同時点で20歳以上の推定相続人や孫に対して、贈与を行う場合には、節税効果の大きい相続時精算課税制度を利用できます。
以下では、この制度の利用に必要な手続き(相続時精算課税選択申出書の提出など)について、説明をいたします。
相続時精算課税制度の利用を申し出る期限
1年間に110万円を超える贈与をした場合には、贈与税の申告が必要になります。
この贈与税の申告書は、贈与があった年の翌年の2月1日から3月15日までの間に提出しなくてはなりません。
贈与税の申告書第2表に贈与金額を記載する
相続時精算課税制度を利用する場合、贈与税の申告書第2表に、相続時精算課税の贈与金額を記載します。
なお、対象年度に暦年贈与があった場合には、その金額も、この表の別の欄に区別して記載します。
相続時精算課税制度を利用した贈与の金額を記載した場合には、申告書第2表の2ページ目に、相続時精算課税の計算明細書があります。
この明細書に、相続時精算課税制度の対象となった財産の明細を書き込みます。
相続時精算課税選択申出書について
この他にも、贈与税の申告書に、相続時精算課税選択届出書の添付が必要となります。
この様式は、税務署の窓口で交付を受けることができますが、国税庁のホームページからダウンロードにより、入手することも可能です。
この届出書には、以下の事項を記載します。
- 特定贈与者(相続時精算課税制度の対象となる贈与者)の氏名及び住所、生年月日
- 受贈者が年の途中で特定贈与者の推定相続人となった場合には、その理由及び推定相続人となった年月日
そして、この届出書には、次の書類を添付します。
- 受贈者の戸籍謄本など(受贈者の氏名、生年月日、受贈者が特定贈与者の推定相続人であることが分かるもの)
- 受贈者の戸籍の附票の写しなど(受贈者の20歳以後の住所・居所の遷移が分かるもの)
- 特定贈与者の住民票の写しなど(特定贈与者の氏名及び生年月日のわかるもの)
- 特定贈与者の戸籍の附票の写しなど(特定贈与者の60歳以後の住所・居所の遷移が分かるもの)
相続時精算課税制度の手続きは税理士に任せるべき
贈与税の手続きは、受贈者の方がご自身で行うことも不可能ではありませんが、非常に複雑ですし、戸籍謄本などの収集も結構骨が折れます。
また、書類に不備があり、申告期限までに受理されなかったような場合には、大変な損失を被る場合もありえます。
従って、税の専門家である税理士に手続きを依頼した方が確実です。
まとめ
相続時精算課税制度を適用するためには、相続時精算課税選択申出書の記載など、様々な複雑な手続きを取らなくてはいけません。
絶対にミスをしてはいけない作業ですので、経験豊かな税理士に手続きを代行してもらうことをオススメします。