遺贈とは、被相続人が法定相続人以外の者に対して、遺産を贈与することです。
なお、遺贈には、法定相続人に対して行うものと、法定相続人以外に対して行うものがあります。
以下では、このうち、相続人に以外に対して行うものを遺贈に関して、それに対する税金の賦課のされ方について解説いたします。
遺贈には相続税がかかります
遺贈にも相続税という税金がかかります。
遺贈も贈与の一種ですから贈与税の対象となるとも考えられますが、贈与税は生存している方からの贈与が対象ですから、被相続人からの贈与は対象外です。
また、相続税も法定相続人のみが課税対象者なのではなく、遺贈があれば、法定相続人以外の者も対象となります。
遺贈による相続税の計算例
亡くなったAさんに配偶者がなく、子供は長男のCさん1人で、Cさんは独立してAさんとは別居していたとします。
なお、Aさんが亡くなるまで、Dさん(親族以外)がAさんの世話をしていたとします。
Aさんは、遺言で、世話になったDさんに空き家となるAさんが居住していた土地・建物をDさんに贈与するとしていました。
Aさんの遺産総額は1億円、このうち、Dさんに遺贈した土地・建物の相続税評価額は4,000万円だったとします。
このケースで、Dさんが受けた遺贈に対して相続税はいくらかかるのでしょうか?
課税遺産総額を算出する
まず、遺産総額から基礎控除額を差し引きます。法定相続人はCさん1人ですから、基礎控除額は3,600万円となります。
1億円から3,600万円を引きますと、6,400万円が残り、これが課税遺産総額となります。
相続税の総額を算出する
この課税遺産総額を法定相続分で按分しますが、法定相続人が1人なので、Cさんの法定相続分6,400万円に相続税率と控除額が適用され、6,400万円×30%-700万円=1,220万円が相続税の総額となります。
相続税の総額を相続割合で分配する
さて、相続税の総額を相続分で分配します。
相続分は、Cさんが6,000万円/1億円=60%、Dさんが4,000万円/1億円=40%となります。
法定相続人の場合、相続税の総額に按分割合を乗じれば、相続税納付額が定まりますので、Cさんの納税額は732万円となります。
計算された相続税額に2割加算を行う
一方、法定相続人でないDさんの場合には、相続税の2割加算があります。
従って、Dさんが納付すべき相続税額は、
相続税額(1,220万円) × 分割割合(40%) × (1+20%) =585万6千円
となります。
まとめ
相続人以外の者でも、遺贈を受けると、相続税という税金の納税義務が生じます。
私は相続人ではないから税金を支払う必要がないと考えていると、納税期限に納税できず後から、本税の他に延滞税を徴収されたりするので、十分に注意しなくてはなりません。