分割相続とは、相続人が複数いる場合に、遺産を相続分に応じて分割して相続する形態のことをいいます。

現行の民法では、この分割相続が原則となっています。

今回は、分割相続について解説します。

分割相続=ひとつの財産を分割して相続すること

分割相続とは、被相続人の相続財産を共同相続人が共有持分に応じて相続する形態のことをいいます。

なお、旧民法の家督相続の場合には、相続人が数人ある場合でも原則として長男嫡出子が全ての相続財産を相続します。

現行民法では、旧民法の家督相続制度は廃止され、分割相続の原則を採用しております。

家督相続の廃止と分割相続

旧民法の家督相続制度は、家産を分散させずに保存しておくという点においては優れていました。

しかし、第2次世界大戦後制定された現行憲法における平等の原則に反するため、廃止されました。

現行憲法では、家制度よりも個人の権利を優先する考え方が採用されました。

そのため、法律上は、相続人の全員が遺産の配分を受けることができる分割相続のルールが採用されました。

分割相続だから相続財産が必ず分割されるわけではない

相続に関する法律上の原則が分割相続になったからと言って、実際の遺産相続がすべて共同相続人による分割相続になるとは限りません。

現行民法によると、遺産に対して権利を有する共同相続人は、相続に関する態度として以下の3つの方法から選択できます。

  1. 単純承認
  2. 限定承認
  3. 相続放棄

1,単純承認

単純承認とは、無条件に被相続人の権利義務を承継することです。

単純相続は数人の相続人のうちの一人が単独で行うことができます。

2,限定承認

限定承認とは、相続によって得た財産の範囲内でのみ、被相続人の有する借金の返済や遺贈の義務を履行するという条件付きで、相続の承認をすることです。

相続人が数人ある場合には、数人の相続人全員が共同で行わなくては効力を有しません。

3,相続放棄

相続放棄とは、遺産に関する一切の権利を放棄することをいいます。

よって、分割相続の場合でも、相続人の1人が単純承認を行い、他の相続人全員が相続放棄を行うことによって、家督相続と同じような遺産の分割方法を実現することは可能です。

遺産分割協議 = 相続財産の割合を決める会議

民法によって、共同相続人の法定相続分は決まっています。

しかし、法定相続分そのままに相続財産が分割されるケースはそんなに多くはありません。

実際に各相続人に帰属する相続財産の割合は、相続人間の協議に基づいて決められることがほとんどです。

この協議のことを遺産分割協議といいます。

まとめ

今回は、分割相続についてお話しました。

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