婿養子とは、婚姻と同時に夫が妻の両親と養子縁組をすることを言います。
婿養子の制度は、子供が女子ばかりの家において男子を欲する場合によく利用されます。
今回は、婿養子の相続の権利について解説します。
婿と婿養子の違い
婿養子と単なる婿は違います。
単なる婿は、結婚した場合に、夫が妻の姓を名乗るだけの場合を指します。
一方の婿養子とは、結婚した場合に、夫が妻の姓を名乗るほかに、夫が妻の両親と養子縁組を行います。
婿と婿養子の最大の違いは、相続です。
単なる婿の場合には、妻の相続人となることはあっても、妻の両親の相続人となることはありません。
一方、婿養子の場合には、妻の相続人となることができる上に、妻の両親の相続人になることもできます。
婿養子は養親の他実親の相続人にもなれる
養子になったことにより新たに親になる者のことを養親といいます。
一方、養子になった者の生物的な(本当の)親のことを実親といいます。
婿養子は、養親の相続人になることができるほか、実親の相続人になることもできます。
特別養子という例外
特別養子といって、一定の要件に該当する6歳未満の子供を養子にできる制度があります。
特別養子の場合には、実親との関係は切断されますので、養親の相続人にはなれますが、実親の相続人になることはできません。
しかし、婿養子の場合には特別養子に該当しないため、養親と実親の双方の相続人になれます。
婿養子となるための手続き
婿養子となるためには、妻の姓を名乗る婚姻届の提出と同時に、妻の両親との養子縁組届を提出します。
妻の姓を名乗る婚姻届を提出すると、妻を筆頭者とした新戸籍が編纂されます。
その後、妻の両親との養子縁組届を出すと、妻の両親の戸籍に、婿養子が嫡出子として記載されます。
嫡出子について
嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女から生まれた子のことをいいます。
婿養子の場合には、養親と血のつながりがないにもかかわらず、嫡出子の身分を獲得し、両親と血のつながりのある子と法律上全く同等の扱いを受けます。
婿養子は政治家の家に多い
婿養子には、有名な政治家が結構います。例えば、
- 岸信介(元総理大臣)
- 佐藤栄作(元総理大臣)
- 田中直紀(田中角栄の息子・田中眞紀子の夫)
- 野田毅(元自治大臣)
- アルベルト・フジモリ(元ペルー大統領)
などといった政治家が婿養子となっています。
政治家の家では、子供が女子ばかりでは父親の政治的な財産を引き継ぐには不適切なので、婿養子の制度を利用して男子の跡継ぎを人為的に生み出す傾向があります。
まとめ
今回は、婿養子の相続の権利について解説しました。
婿養子は昔から使われている制度です。
婿養子は、実親と養親の両方から相続を受けることができます。
実の親からの相続権が消滅するわけではないので注意してください。