死因贈与とは、贈与者の死亡を条件として、贈与者の生前に贈与契約を結ぶことをいいます。
例えば、「私が死んだら、あなたに1,000万円をあげます」というような契約が死因贈与に該当します。以下では、この死因贈与について解説します。

死因贈与と相続・遺贈の違いについて

人の死亡に係る財産の承継というと、相続や遺贈がすぐに思い浮かべられますが、死因贈与という制度もあります。相続や遺贈と死因贈与の大きな違いは、相続や遺贈は被相続人や遺贈者の単独行為であるのに対して、死因贈与は贈与者と受贈者の双務契約である点です。

相続や遺贈は、財産の受け手の意思に関わらず一方的に効力が生じますが、死因贈与は、贈与者と受贈者双方の同意が必要になります。よって、死因贈与の場合で、贈与財産の受け手が契約を拒否した場合には、死因贈与契約は成立しません。

死因贈与による財産の移転に係る税金について

死因贈与は、死亡を原因とした贈与ですが、税法上は遺贈として扱われますので、相続税の課税対象となります。相続税が課税されるので、反射的に、贈与税は課税されません。

死因贈与によって不動産の権利を取得した場合には、その登記が必要になります。そして、その際に登録免許税の納付が必要になります。死因贈与を原因とした権利移転登記にかかる登録免許税は、死因贈与による権利移転の場合には、対象不動産の価額に20/1,000を乗じた金額となります。

同じく、死因贈与によって権利を取得した場合には、不動産取得税の納付が必要になります。なお、特定の不動産を遺贈する場合で、受贈者が相続人である場合には、その受贈者に不動産取得税はかかりません。しかし、死因贈与の場合には、受贈者が相続人でも不動産取得税がかかります。

死因贈与と相続放棄

相続の場合には、被相続人の財産を引き継ぎたくない場合には、相続の開始を知った時から3ヵ月以内に相続放棄をすれば、被相続人の財産を受け取る必要はありません。また、遺贈の場合も、特定の財産を指定した遺贈の場合には、いつでも、遺贈財産の放棄ができます。

さらに、相続財産全体を指定して行う包括遺贈の場合でも、原則として、遺贈者の死亡と遺贈があったことを知った時から3ヵ月以内に遺贈放棄の手続きを行なえば、遺贈財産を受け取る必要はありません。

一方、死因贈与の場合、贈与契約を締結した時点で受贈者が契約に合意していますから、贈与者の死亡時点で、贈与財産を受け取らないことはできません。契約を解除できる特別の事情がある場合は別ですが、相続や遺族のように簡単に権利を放棄することはできません。

相続税は早めに対応することで、大きく減税できる可能性があります。
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