相続人が未成年者である場合、その未成年者が支払う相続税には相続税の未成年者控除が適用できます。

この制度は、収入が無いことの多い未成年者の担税能力に配慮して設けられた制度です。以下では、この相続税の未成年者控除について解説します。

未成年者控除とは

相続税の未成年者控除は、相続人である未成年者が相続税の納税義務者となる場合には、その納税額のうちの一定額を控除できるという制度です。この控除は、配偶者控除や基礎控除とは異なり、相続財産の合計額や、相続した相続財産の価額から控除するのではなく、支払うべき相続税額から控除します。

例えば、未成年者Aが相続人となり、50万円の相続税を支払う義務が生じたとします。ここで、未成年者が30万円の未成年者控除の適用が可能であるとします。すると、Aが税務署に納めるべき税額は、50万円−30万円で20万円となります。

未成年者控除を受けるための要件について

未成年者控除を受けるための要件は、次のとおりです。
㈰相続や遺贈によって財産を取得した人が日本国内に住所がある人
㈪相続や遺贈によって財産を取得したときに20歳未満である
㈫相続や遺贈によって財産を取得した人が法定相続人であること

なお、㈰については、相続や遺贈により財産を取得した人が日本国内に住所が無くても、日本国籍を有していて、その人又は被相続人が相続開始前5年以内に日本国内に住所を有していたことがある場合、又は、日本国籍を有していない人の場合で、被相続人が日本に住所を有している場合には、未成年者控除の適用が可能です。

未成年者控除の金額について

未成年者控除の金額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき6万円(平成27年1月1日以後に発生した相続については10万円)を乗じた金額となります。この計算において、20歳になるまでの期間に1年未満の端数がある場合には、それを1年に切り上げます。

例えば、相続開始時点で6歳5か月の未成年者については、この者が満20歳になるまでの期間は13年7か月ですから、端数を切り上げると14年となります。この14年に6万円又は10万円を乗じると、未成年者控除の金額は、84万円又は140万円となります。

引ききれなかった未成年者控除額はその扶養者の納税額から控除できる

未成年者控除の金額がその未成年者の相続税額を上回り、引ききれない控除額がある場合には、その控除額は、未成年者の扶養者が支払うべき相続税額なら控除できます。なお、ここで扶養者とは、未成年者の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹、3親等以内の親族のうち、未成年者の生活の世話をしている人をいいます。

例えば、未成年者の支払うべき相続税額が100万円、未成年者の扶養者の相続税額が200万円、未成年者控除の金額が140万円とすると、未成年者控除の金額が40万円余ります。この40万円は、扶養者の納税額から控除できます。よって、最終的な納税額は未成年者が0円、その扶養者が200万円−40万円=160万円となります。

相続税は早めに対応することで、大きく減税できる可能性があります。
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