相続税の確定申告は、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から起算して10ヵ月以内に行わなくてはなりません。この期限内に相続税の確定申告をしたけれども、申告した税額が過少であることが後に発見される場合があり、その際には相続税の修正申告が必要になります。以下では、それについて解説します。

相続税の修正申告には2種類ある

相続税の修正申告には2種類あります。1つ目は、相続人が申告した相続税額の誤りに自ら気付いて、税務調査の前に、自発的に修正申告を行う場合です。2つ目は、相続税の申告後に税務署が行う税務調査により過少申告が発覚し、その結果を踏まえて修正申告を行う場合です。

税務調査前の自発的な修正申告について

前者の税務調査前の自発的な修正申告の場合には、修正申告の際に、修正によるペナルティである過少申告加算税は課税されません。ただし、修正申告後の増加分の相続税の納付期限は、修正申告の日とされていますので、修正申告と同時に増額分の税金を納付しなくてはなりません。

税務調査後の修正申告について

一方、税務調査の結果、相続税の過少申告が発覚し、その結果を踏まえて修正申告を行った場合には、過少申告分である新たに納める税金に加えて、その金額に10%を乗じた過少申告加算税も納付する必要があります。

過少申告加算税は、新たに納める税金が当初の申告額か50万円のいずれか多い方を超えている場合には15%になります。また、相続人が偽装や隠蔽工作によって過少申告を行なった等の事情がある場合には、過少申告加算税にかわりに、新たに納付する額の35%の重加算税が課税されます。

延滞税について

税務調査前の修正申告でも、税務調査後の修正申告でも、法定納付期限(相続のあった日の翌日から起算して10ヵ月を経過した日)から、修正申告により新たに納めることとなった税額を完納した日までの期間に応じ、追加納付額に一定の割合を乗じた延滞税の納付も必要となります。

この延滞税率は、法定納付期限の翌日から2ヵ月を経過する日までに追加で納める相続税を完納した場合には、原則として年率7.3%となります。法定納付期限の翌日から起算して2カ月を経過した日以後に完納した場合には、原則として年率14.6%となります。

更正の請求について

修正申告は、確定申告の際に申告した相続税額が本来の税額よりも少なかったために、追加で相続税を納める手続きです。これとは反対に、申告した相続税額が本来の税額より多すぎた場合に、納め過ぎた税金を取戻す手続きが更正の請求です。

更正の請求を行うには、税務署に備え付けてある更正の請求書に一定事項を記入して、税務署に提出します。更正の請求が認められますと、払い過ぎた税金が更正の請求書に記載された請求人の銀行口座に振り込まれます。なお、更正の請求ができる期間は、法定納付期限から起算して5年間です。

無申告加算税とは

修正申告は、相続人が確定申告を行った結果、申告した税額が間違っていた場合の手続きです。一方、法定期限内に相続税の確定申告を行なわず、税務調査による税務署の決定によって、相続税の支払いが命じられる場合もあります。

この場合には、本来納めるべき税額に15%を乗じた無申告加算税がペナルティとして追加的に課税されます。さらに、無申告が偽装や隠蔽工作等による場合には、無申告加算税に代わり税率が40%の重加算税が課税されます。いずれの場合も、延滞税も合わせて課税されます。

相続税は早めに対応することで、大きく減税できる可能性があります。
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