平成27年1月1日以降に発生する相続に対する相続税は、それまでと比べて、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられました。
今までは相続税の対象となる相続は、ごく限られたお金持ちの相続に限定されていました。
しかし、今後は、ごく普通の家庭でも、ちょっとした資産があれば、相続税が課されるようになります。
そこで、今まで、相続税対策が必要なのは、ごく限られた人たちのみでしたが、今後は、一般の人々にも、相続税に対する対策が必要になると予測されます。
そこで、以下で、主な相続税対策について考えていきます。
生前贈与の活用
まず、最初に相続税対策として上げられるのは、生前贈与の活用です。
生前贈与の活用には、大きく分けて2種類あります。
1つは、暦年贈与の活用です。
もう1つは、相続時精算課税制度の活用です。
まず、最初の暦年贈与とは、贈与税の基礎控除額が110万円であることを利用して、毎年、非課税限度額の上限である110万円ずつ贈与を行うことで、相続財産を少しづつ減らし、相続発生時の相続税を減らすという方法です。
この方法は、相続人が子や孫以外の場合でも利用が可能だというメリットがあります。
また、手続が極めて簡単だということも利点に挙げられます。
反対に、デメリットとしては、相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象となることとが上げられます。
相続税対策としての生前贈与にはもう一つ、相続時精算課税制度の活用があります。
これは、60歳以上の父母・祖父母が、20歳以上の子や孫へ贈与する場合、税務署へ届け出ることによって、2,500万円まで非課税で贈与を行なえるという制度です。
ただし、この制度を利用すれば、贈与者である父母・祖父母が亡くなった時に、この制度を利用して贈与した財産の金額が相続税の対象となる財産に加算されます。
ただし、その場合でも、贈与税の基礎控除額が110万円で、相続税の基礎控除額が最低でも3,600万円ですから、大きな節税となります。
父母や祖父母から子や孫へ贈与する場合、この制度は、税金対策としては非常に有効な制度であります。
しかし、兄弟姉妹などへの贈与の際はこの制度が利用できませんので、制度を利用できる者が限られていることが、この制度のデメリットとして上げられます。
財産に占める不動産の割合を高める
その他、相続税対策としては、財産を預金や現金ではなく、不動産で所有することがあげられます。
というのは、相続税を評価する際、現金や預金は100%の価額で評価されますが、土地の場合には公示価格(一般的な土地の価格)の80%、建物の場合には建築費の60%程度で評価されます。
このため、相続財産が不動産である場合には、それが現金や預金である場合に比べて、相続税が相対的に安くなります。
相続財産の不動産比率を高めておくことは、相続税対策として有効的です。
生命保険を利用した相続税の節税対策
もう1つ、相続税対策として、生命保険の活用が上げられます。
被保険者と保険料の負担者をA(被相続人)さん、保険金の受取人をAさんの妻Bさん(相続人)とする生命保険は、Aさんが亡くなって保険金がBさんに支払われると、この保険金はみなし相続財産として相続税の対象になります。
しかし、この死亡保険金には非課税限度額(500万円×法定相続人の数)が設定されますので、死亡保険金の金額をこの非課税限度枠内に設定すれば、税金を課されることなく、被相続人からこの保険金を相続できます。
このように、生命保険を利用して相続税の節税ができます。
まとめ
今回は3つの相続税対策について紹介しました。
- 生前贈与
- 不動産の割合を高める
- 生命保険の活用
他にも相続税対策はいろいろとありますので、自分が相続税対象者だと思ったら、積極的に相続税対策の施策を打つようにしましょう。