相続が発生した場合で、相続財産が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、原則として、相続税の申告と納税の手続きが必要になります。
今回は、この相続税の申告手続きについて説明してまいります。
相続税はいつまで申告するのか
相続税の申告手続きは、相続人が相続の開始を知った日(たいていは、被相続人が亡くなった日)の翌日から起算して10カ月以内に行わなくてはなりません。
例えば、平成27年1月1日に被相続人が亡くなり、死亡の事実を相続人がその日に知った場合、相続税の申告期限は、平成27年11月1日が申告期限となります。
相続税の申告書の提出先は、被相続人(亡くなった人)の住所地を管轄する税務署です。
相続人(亡くなった人から財産を受ける人)の住所地を管轄する税務署ではないので、注意が必要です。
相続税の申告書は、平成27年度版で第1表から第15表まであり、それぞれの付表を含めると全部で45表あります。
この表は全て使用するというわけではなく、相続の内容に応じて必要な表を適宜選択した上で必要事項を記載し、提出します。
申告期限まで相続がまとまらない場合について
ところで、法定相続によらない場合には、遺産分割協議で最終的にどの相続財産がどの相続人に帰属するかを決めますが、それが決まらないと相続税が確定しません。
しかし、遺産分割の場合には、相続の開始から申告期限である10カ月間で決まらない場合も多々あります。
このような場合には、申告期限である相続開始を知った日の翌月から10カ月以内に、相続税の申告を行うことはできません。
このような場合には、一旦、法定相続をしたものと仮定して相続税を計算し、その金額で申告を行います。
そして、遺産分割協議が整った時点で、修正申告を行うという方法をとります。
相続税の納税が困難な場合の救済措置
なお、相続税の納付期限も、申告期限と同じ被相続人が相続の開始を知った時から10カ月以内です。
ですから、相続人は相続税が課税される場合には、10カ月以内に納税のためにある程度のまとまったお金を用意しておく必要があります。
相続税の額が比較的高額になる場合、納税のために現金を用意することには困難が伴います。
そのため、相続税の納税に関しては、延納と物納の制度が設けられています。
延納
延納とは、相続税の納税期限を原則5年、最大で20年間延期する制度のことです。
この延納制度を利用するためには、
- 相続税額が10万円以上
- 本来の納期限までに現金一括で納税することが困難であること
- 担保を提供できること
- 本来の納期限までに延納申告書を提出すること
などの要件を満たす必要があります。
物納
物納とは、本来の納期限までに相続税の現金一括納付が困難な場合、国債や地方債、不動産、社債や株式など、現金や預金以外の財産で相続税を支払う方法のことです。
この方法を利用するためには、
- 金銭で納税することが困難な理由があること
- 不動産や国産などの物納が可能と国が定めた財産を有しているこ
- 本来の納期限までに物納申請書や手続き関連書類を税務署に提出すること
などの要件を満たしている必要があります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は相続の申告期限から、延納方法まで説明しました。
相続税の額が比較的高額になる場合、納税のために現金を用意することには困難が伴いますので、延納や物納を使うことをオススメします。