相続税を計算する際、相続人が相続により取得した財産価額のすべてが相続税の対象となるわけではありません。

相続税の対象となる財産は、原則として、相続した財産の価格から各種の予め決められた一定の金額を差し引いた金額となります。

この一定の金額が控除になります。

基礎控除について

相続税に係る控除のうち、最大のものは、基礎控除です。

この基礎控除の金額は、平成27年1月1日以後に発生した相続に関しては、
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
となっています。

なお、この基礎控除は、平成26年3月31日以前に発生した相続分については、
5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
でした。

ですから、相続税の対象となるのは相続全体の4%程度でした。

しかし、今回の改正で基礎控除が大幅に引き下げられ、相続税の課税対象者が大幅に増えると予想されています。

法定相続人について

なお、法定相続人とは、法律上の相続人となることができる者のことです。

具体的には、被相続人の配偶者は常に法定相続人となります。
被相続人に配偶者と子がある場合、配偶者と子が法定相続人となります。

被相続人に配偶者があるが、子(直系卑属)がいない場合、配偶者と父母(直系尊属)が相続人となります。

被相続人に配偶者はあるが、子(直系卑属)及び父母(直系尊属)がない場合、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人となります。

遺産総額が基礎控除を超えると相続税がかかるようになる

例えば、法定相続人が配偶者と長男と長女の3人だったとします。

この場合の基礎控除は3,000万円+(600万円×3人)で4,800万円となります。

ですから、簡単に言うと、被相続人が残した遺産が4,800万円までであれば、相続税はかかりません。

一方、遺産が1億円であったとします。

この場合には、1億円から基礎控除額の4,800万円を差し引いた5,200万円が相続税の対象となります。

このように、基礎控除の金額は、相続税を払うか払わないかの境界を決定する重要なファクターとなります。

その他の控除について

さて、控除の内の最大のものは、上記の基礎控除ですが、その他にも、相続人が未成年者である場合の未成年者控除、相続人が障害者である場合の障害者控除など、基礎控除に比べると控除金額が少ない控除が各種あります。

また、相続税の計算は、遺産の総額から基礎控除額を引いた金額(課税遺産総額)を法定相続分で按分した金額(課税遺産総額の法定相続分)に、それぞれ相続税額を乗じて、相続税の法定相続分を計算します。

次に、各法定相続人において計算した相続税額を合算し、その相続税の総額を、今度は、法定相続人が実際に相続した財産の価額に基いて按分し、最終的に相続人が税務署に支払うべき相続税の金額を算出します。」

この過程において、課税遺産総額の法定相続分に相続税額を乗じる際、税率を乗じた後の金額に対し、各法定相続人の取得金額に応じて、一定の控除が設けられています。

これは、例えば、取得金額が1,000万円以下の場合には0円、
1,000万円超3,000万円以下の場合は50万円、
3,000万円超5,000万円以下の場合は200万円、
6億円超の場合は7,200万円など控除の金額が設定されています。

まとめ

相続税には様々な控除が設定されております。

受けられる控除を受けないのは損ですので、どの控除を受けられるかをチェックして、できるだけ相続税の額を減らすようにしましょう。

相続税は早めに対応することで、大きく減税できる可能性があります。
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