相続したくない場合に使える、「相続放棄」という制度。
借金があるようなときは便利ですが、消極財産に加え積極財産まで相続できなくなります。
では、相続放棄をした場合、死亡退職金はもらえるものなのでしょうか。
相続放棄とはどういう制度なのか
相続が発生した場合、通常、相続人が取る対応は以下のいずれかになります。
- 単純承認
- 限定承認
- 相続放棄
プラスの財産(積極財産)、借金(消極財産)すべてを相続するのが1です。
2は、相続で得た財産内で消極財産も相続します。
両方とも避けて、積極財産も消極財産もすべて相続したくないという場合。
うってつけなのが3の「相続放棄」になります。
被相続人が亡くなっても、相続しないということもあり得るでしょう。
たとえば、家庭内の事情であえて遠慮したい、など。
そうした場合には、相続放棄をすればいいのです。
死亡退職金はどういう仕組みになっている?
退職金と死亡退職金の違いについても、ぜひ、知っておきたいものです。
どちらも会社を退職する際に受け取るもの。
前者は普通の退職、後者は死亡退職。
以上はまず、ご存知ではないでしょうか。
しかし、両者には決定的な相違点があります。
前者は相続税の対象にならないが、後者はなります。
ただ、死亡退職金が完全に不利とも言えません。
「500万円×法定相続人の数」という非課税措置が存在するからです。
節税のうえでは欠かせない制度であると言えます。
相続放棄と死亡退職金の関係について
両方とも便利な仕組みのようですが、相続放棄した場合、死亡退職金は受け取れるのか。
結論を知るためには、会社員は、死亡退職金が相続財産に入るかを確認せねばなりません。
実は、死亡退職金が相続財産に入るかは、会社によって結論が異なります。
もし入るのであれば、相続放棄によって死亡退職金の受け取りはできません。
逆に入らないのであれば、受け取ることが出来ます。
では、公務員の場合はどうでしょう。
公務員は「国家公務員退職手当法」の規定により、死亡退職金は相続財産に入りません。
そのため、相続放棄していても死亡退職金は受取りが可能です。
まとめ
相続放棄によって、死亡退職金は受け取れる場合もあります。
ところが、職種や勤務先によっては、受け取れないこともあるということです。
かなり落とし穴になりやすいことと言えるでしょう。
会社員の方は、しっかり自社がどうなっているのか、確認しておいた方がいいと思います。