マイナンバーが導入されますと、金融機関の隠し口座を利用した相続税対策が非常に難しくなります。

そ不動産を利用した相続税対策の重要性が相対的に増してきます。そこで、以下では相続税対策として不動産を利用する方法について解説します。

不動産が相続税対策に利用できる理由について

相続税対策としてなぜ不動産が利用できるのかというと、土地や建物の相続税価額は固定資産税評価額を利用して計算されますが、この固定資産評価額が、時価よりも低くなるという特徴があるためです。

一般的には、土地の固定資産税評価額は時価の約80%、建物の同評価額は時価の60%〜70%と言われています。不動産を利用した相続税対策は、この評価の差を利用します。

例えば、将来の相続財産のうち1億円を、土地を購入することで、現金から土地に代えておきます。

すると、相続があった場合、現金のまま所持していた場合には相続税評価額は1億円となりますが、土地に代えておいた場合には、その評価額は8,000万円となります。よって、土地に変更していた場合には2,000万円分評価額が下がります。

 

建物の場合も同様です。例えば、1億円で建物を建築しておいて、相続財産を現金から建物に変更しておけば、建物の相続税評価額は時価(建築費)の60%〜70%ですから、仮に65%とすると、相続の際の財産評価額は6,500万円となり、現金で相続する場合に比べて、その評価額を3,500万円減らすことができます。

相続税対策として不動産投資を行う方法について

不動産を利用した相続税対策としては、不動産投資を行う方法も有効です。

例えば、現金1億円で土地を購入し、その土地を第三者に賃貸したとします。現在の借地権割合は、おおよそ90%〜60%ですが、仮に対象不動産の属する地域の借地権割合を70%とします。

すると、購入した土地を第三者に賃貸した場合には、その土地の価額は、1−借地権割合となりますから、70%減額され、30%となります。

よって、現金で1億円を相続する場合と比較して、そのお金で土地を購入した上で賃貸すれば、その評価額は1億×80%×30%=2,400万円となり、7,600万円の減額となります。

また、1億円で建物を建築し、その建物(住宅)を賃貸に出した場合には、現在の借家権割合は日本全国でほぼ一律に30%となっていますので、1億円を現金で相続する場合に比べて、その相続税評価額は1億円×(60%〜70%)×(1−30%)=4,200万円〜4,900万円となり、5,100万円〜5,800万円を減額することができます。

今後注目される不動産を利用した相続税対策

マイナンバー制度の導入により、今までよく利用されていた金融機関の隠し口座を利用した相続税対策は、非常に困難になります。

すると、相対的に、不動産を利用した相続税対策が注目されるようになります。

不動産を利用した相続税対策は、隠し口座を利用した相続税対策のような違法性はく、合法的な節税方法です。不動産を購入する手続きは結構大変ですが、節税できる税額の大きさを考えると、この相続税対策は積極的に利用したい方法の1つです。

相続税は早めに対応することで、大きく減税できる可能性があります。
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