亡くなった方が自動車を所有していた場合には、その相続人がその自動車を相続する場合もあると思います。
そこで、以下では、自動車を相続する際の名義変更の手続きについて解説します。
遺産分割協議書について
自動車の相続手続きとは、具体的には、被相続人から自動車を相続した相続人に対して、自動車の登録名義を変更する手続きになります。
この手続きを行うためには、まず、遺言書又は遺産分割協議書等、申請人が被相続人の自動車を取得すべき権利を有することを証明する書面が必要になります。
この書面としては、遺産分割協議書が使用される場合が多いのですので、以下では、遺産分割協議書について説明します。
遺産分割協議書とは、相続人間の話し合いで遺産配分を定めた場合に、その合意の内容を書面に記したものです。
合意の内容がきちんと読み取れるものであれば、遺産分割協議書には特別な様式はありません。
自動車の相続手続きに必要となる遺産分割協議書の場合、申請人(相続により自動車を取得する者)が、遺産である自動車を取得したことが読み取れることが必要です。
なお、遺産分割協議書には、協議に参加した相続人全員の実印の押印が必要であり、各自の印鑑証明書の添付も必要です。
遺産分割協議書以外の自動車の相続手続きに必要な書面
遺産分割協議書以外の必要書面としては、車検証、被相続人と相続人全員の相続関係を明らかにできる戸籍謄本や除籍謄本が必要です。
また、被相続人の住所と新所有者の住所が異なる場合には、車庫証明も必要になります。
さらに、相続による自動車の名義変更の申請書には、新所有者が実印を押印する必要があるので、手続きの際には、実印を持参します。
その際、申請書に押印する実印の印鑑証明書については、遺産分割協議書に添付したものをそのまま使うので、新たに取得する必要はありません。
代理人に手続きを依頼する場合には、上記の書面を用意すれば事足りますが、ご自身で変更手続きをされる場合には、さらに、次の書類が必要になります。
それらは、申請書(OCR用紙)、自動車税・自動車取得税申告書、手数料納付書などですが、これらの書面は、手続き当日に、陸運支局等の窓口で入手することが可能です。
自動車名義変更手続きに必要な書面のまとめ
代理人によって自動車の相続手続きをする場合に必要となる一般的な書面をまとめると、以下のようになります。
- 遺産分割協議書
- 被相続人と相続人の関係を明らかにする戸籍謄本、除籍謄本等
- 相続人全員の印鑑証明書
- 新所有者の実印
- 車検書証
- 相続人全員の委任状
- 車庫証明書
上記の書面が揃ったら、代理人に手渡します。
一方、新所有者が自ら相続による自動車の変更手続きをする場合には、必要な書面は、次のとおりとなります。
- 遺産分割協議書
- 被相続人と相続人の関係を明らかにする戸籍謄本、除籍謄本等
- 相続人全員の印鑑証明書
- 新所有者の実印
- 車検書証
- 新所有者を除く相続人全員の委任状
- 名義変更申請書
- 自動車税・自動車取得税申告書
- 手数料納付書
- 車庫証明書
これらの書類が揃ったら、自動車の本拠地を管轄する陸運支局等の窓口で、名義変更手続きを行います。
なお、実際の手続きによっては、さらに別の書面が必要となる場合がありますので、事前に陸運支局に電話等で確認をする必要があります。
自動車の共有相続について
被相続人の1台の自動車を2人以上で共同して相続し、その自動車を共有名義とすることも可能です。
その場合には、自動車を相続する複数の共有者全員を新所有者として、名義変更手続きの申請を行います。
その際、複数の相続人全員の実印と印鑑証明書、手続きを他人に依頼する場合には委任状が必要になります。
なお、自動車の共有名義での登録は、あとあと1台の自動車の利用方法を巡り、所有者間でトラブルが生起することはよくあるので、できれば避けたい方法です。