日本の相続税の水準は高いと言われていますが、海外の国のそれはどうなっているのでしょうか。

また、日本の相続税の水準が高いとすれば、それはどのような理由によるのでしょうか。

以下では、この問題について解説します。

日本の相続税は高い水準にある

日本の相続税の税率は、諸外国と比較して、非常に高い水準にあります。

そもそも、世界には、相続税が課税されない国もたくさんあります。

例えば、中国、香港、シンガポール、オーストラリア、タイなどは相続税がありません。

また、相続税のある国と比較しても、日本の相続税率は、高水準にあります。

例えば、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの相続税率は次のようになっています。

日本   最低税率10% 最高税率55%
アメリカ 最低税率18% 最高税率40%
イギリス 一律40%
ドイツ  最低税率7%  最高税率30%
フランス 最低税率5%  最高税率45%

最低税率と最高税率のみの比較では、正確な比較はできませんが、それでも、日本の相続税の水準は高い水準にあるといえるでしょう。

アメリカの相続税について

アメリカの相続税率は、最低税率が18%、最高税率が40%と、税率だけを見ると、アメリカも日本と同じように相続税率が高水準にあると言えます。

しかし、アメリカでは、500万ドル(約6億円)の基礎控除額が設定されており、亡くなった方のうち、相続税の対象となるのはわずかに0.2%程度(2010年)と言われています。

日本の場合、亡くなった人に占める相続税の課税対象者の割合は、約4%(2010年)程度ですから、この数字は非常に低いと言えます。

さらに、アメリカでは、富裕層のほとんどが信託制度を活用して、相続税の負担を実質的にゼロにしていますので、実質的な相続税の負担は少ない国といえます。

最近の日本の相続税の改正について

日本の相続税は、平成25年度税制改正により、平成27年1月から、基礎控除額が次のとおり引き下げられました。

それは、5,000万円+1,000万円×法定相続人の数から、3,000万円+600万円×法定相続人の数となりました。

この引き下げにより、亡くなった人に占める相続税の対象者の割合が4%から6%に増加すると予想されています。

さらに、同改正により、相続税の最高税率がそれまでの50%から55%に引き上げられていります。

日本の相続税はなぜ高いか

日本の相続税は、1905年4月に日露戦争の戦費調達のために導入されました。

第二次大戦後、GHQのシャウプ勧告により、相続税の最高税率は90%に引き上げられました。

その後、最高税率は、75%→70%→50%と段階的に引き下げられました(現在は55%)。

日本の相続税率が高率なのは、GHQのシャウプ勧告により、非常に高率の相続税率を設定するように指導されたことが主要な原因です。

なお、GHQのシャウプ勧告には、長男に遺産が集中することを防ぎ、民主的な家族関係の創設という意図があったものと考えられます。

相続税は早めに対応することで、大きく減税できる可能性があります。
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