個人から著しく低額の対価で財産を譲り受けた場合、その財産の時価と実際に支払った対価の差額を、譲渡した人から譲受けした人に対する贈与があったものとみなすことを、低額譲受と言います。以下では、この低額譲受について解説します。

低額譲受の問題点について

例えば、Aさんが普通に不動産取引業者に売却すれば1,000万円の値段が付く土地を、Bさんに100万円で売却したとします。これと比較して、時価100万円の土地を100万円の対価で譲り受ける場合には、贈与税が問題となることはありません。

しかし、Bさんは、時価1,000万円の土地をわずか100万円で譲り受けたわけですから、大変な得をした得をしたことになります。すぐさま、BさんがAさんから譲り受けた土地を不動産業者に売却すれば、1,000万円から100万円を差し引いた900万円の利益が出ます。

こう考えると、BさんはAさんから900万円の贈与を受けたことになります。これに対して贈与税を非課税とすると、この低額譲受を隠れ蓑にした贈与税の脱税が多発することは間違いがありません。

低額譲受には贈与税が課税される

そこで、時価よりも著しく低い対価で財産の譲受けが行われた場合には、その財産の時価と支払われた対価の差額分の贈与があったこととみなし、その差額分について贈与税が課税されることになりました。

上記の例では、時価の1,000万円の支払い対価の100万円の差額900万円の贈与があったとみなされ、その900万円から贈与税の基礎控除額110万円を差し引いた790万円に贈与税率(40%)を乗じた金額が贈与税として課税されます。

低額譲受かどうかの判断基準ついて

低額譲受かどうかを判断する際の時価は、譲受財産が土地や借地権、家屋や構築物の場合には、通常の取引価額が時価となります。株式や動産等それ以外の財産については、相続財産評価額が時価となります。

また、著しく低い価額かどうかの判断基準は、判例によると「財産の種類、譲受けの事情、譲受けの対価、その財産の市場価額を総合勘案して社会通念に照らして判断する」とされています。

なお、法人の場合には、時価と比較して著しく低い対価での財産の譲受けがあった場合には、譲受けた財産の時価と支払対価の差額を法人所得として計上しなくてはなりません。この場合の「著しく低い対価」とは、時価の1/2未満とされています。

しかし、個人間の低額譲受に関する「著しく低い対価」の判断基準は、法人に対する低額譲受に関する「著しく低い対価」の基準である1/2未満という数字とは無関係です。個人間のそれは、1/2未満というような一律の基準によるのではなく、上記の判例の考え方に基づきその都度判断されます。

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