借地権とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権のことをいいます。

この借地権も相続税の課税財産となりますので、借地権を相続により取得した場合には、借地権の相続財産評価が必要になります。よって、以下では、それについて解説します。

借地権の相続財産評価について

借地権の相続財産評価は、借地権が設定されている土地の自用地としての評価額に、借地権割合を乗じて計算します。

ここで、借地権が設定されている土地の自用地としての価額とは、その土地に他人の権利が設定されていない更地とした場合の評価額のことを言います。

また、借地権割合は、土地の相続財産評価が路線価方式である地域に所在する土地に関しては、国税庁で公表している路線価図において、路線価ごとに30%〜90%の範囲で10%ごとに設定されています。

同じく評価方法が倍率方式である地域に所在する土地に関しては、国税庁で公表している評価倍率表において、評価倍率の適用地域ごとに、路線価図と同じように、10%ごとに、その地域に適用される借地権割合が決められています。

借地権の資産価値が大きい場合には、借地権の放棄も考える

例えば、更地としての相続財産評価額が5,000万円の土地に借地権が設定されており、その土地が所在する地域に適用される借地権割合が70%だとすると、その土地に設定されている借地権を相続により取得した場合には、その借地権の相続財産評価額は3,500万円となります。

被相続人が他人の土地を借りていて、その土地の価額と借地権割合の双方が高いケースでは、借地権価額も相当高額になります。
特に市街地等地価の高い地域では、借地権割合も60%以上となる場合が多く、その場合には、借地権の資産価値は、地主が所有する敷地のそれを上回ります。

よって、相続人が相続した借地権を転売できるとか、事業用や居住用として継続して使用する等という事由がない場合には、借地権価額が高額になる場合には、被相続人が生前に借地権を放棄しておくことも、相続税対策として有効です。

借地権の種類で異なる評価方法

相続財産評価における借地権は、借地借家法の借地権の区分に従い、次の5つの種類が存在します。
(1)借地権(借地借家法第3条)
(2)定期借地権(借地借家法第22条)
(3)事業用定期借地権等(借地借家法第23条)
(4)建物譲渡特約付借地権(借地借家法第24条)
(5)一時使用目的の借地権(借地借家法第25条)

借地権が設定されている土地の更地としての評価額に、借地権割合を乗じることで借地権価額の相続財産評価を行うのは、

(1)の借地権に限定されます。(2)から(5)については、同じ借地権でも別の相続財産評価方法が適用されますので、注意が必要です。

相続税は早めに対応することで、大きく減税できる可能性があります。
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