日本の相続税の税率は、世界でも有数の高水準にあるといわれています。
そこで、以下では、この相続税の税率について解説します。
相続税の税率について
日本の相続税の税率は、次のとおりとなっています。
各法定相続人の遺産の取得金額 | 税率 |
1,000万円以下 | 10%(控除額0円) |
1,000万円超3,000万円以下 | 15%(控除額50万円) |
3,000万円超5,000万円以下 | 20%(控除額200万円) |
5,000万円超1億円以下 | 30%(控除額700万円) |
1億円超2億円以下 | 40%(控除額1,700万円) |
2億円超3億円以下 | 45%(控除額2,700万円) |
3億円超6億円以下 | 50%(控除額4,200万円) |
6億円超 | 55%(控除額7,200万円) |
上記のように日本の相続税の構造は、課税価額である各法定相続人が取得した遺産の金額に応じて、累進的により高い税率で課税される構造(超過累進構造)となっています。
ちなみに、主要各国の相続税の税率は次のようになっています。
アメリカ 最低税率18% 最高税率40%
イギリス 一律40%
ドイツ 最低税率7% 最高税率30%
フランス 最低税率5% 最高税率45%
最低税率と最高税率のみでは正確な比較はできませんが、これだけでみると、日本の相続税の水準は、世界の主要各国と比較しても高い水準にあると言えます。
相続税の計算方法について
さて、相続税の計算をする場合には、被相続人の課税価額の合計額を計算します。
課税価額の合計額は、被相続人の遺産の総額から、非課税財産の価額を控除することで計算できます。
ここで、非課税財産とは、墓地、墓碑、仏壇、一定額以下の死亡保険金や死亡退職金等が該当します。
さて、課税価額の合計額を計算したら、次に、その価額から基礎控除額を計算します。
基礎控除額は、平成27年1月以降に発生した相続については、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
この計算式で計算された基礎控除額の金額を、課税価額の合計額から差し引き、その差額が、課税遺産総額となります。
今度は、この課税遺産総額を法定相続人の法定相続分で按分すると、各法定相続人の遺産の取得金額が計算できます。
この各法定相続人の遺産の取得金額に、上記の相続税率表に基づく税率を乗じ、各法定相続人の遺産の取得金額に対する税額を計算します。
各法定相続人の遺産の取得金額に対する税額は各法定相続人全員分を合算し、相続税の総額を計算します。
この相続税の総額に、遺産の総額に占める各法定相続人の遺産の取得分の割合を乗ずると、各相続人に課税される相続税額が計算されます。
相続税の計算例
Aが1億円の相続財産を残して亡くなり、相続人が配偶者B、子C、Dの3人であったとします。
なお、Aの遺産には、墓石や墓碑等の相続税の非課税財産は含まれていないものとします。
この相続の基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数(3人)=4,800万円となります。
なので、課税遺産総額は、1億円?4,800万円=5,200万円となります。
この5,200万円は、各相続人の法定相続分(Bが1/2、C、Dが各1/4)で按分します。
すると、 各法定相続人の遺産の取得金額は、Bが2,600万円、Cが1,300万円、Dが1,300万円となります。
次に、この各法定相続人の遺産の取得金額に相続税率をかけると、Bが2,600万円×15%?50万円=340万円、C及びDが1,300万円×15%?50万円=145万円となります。
さて、B、C、Dの各法定相続人の遺産の取得金額に対する税額を合計すると、340万円+145万円×2人=630万円となります。
さて、実際の遺産の取分は、Bが6,000万円、C及びDが各2,000万円ずつであったとします。
すると、最終的に、Bに課税される相続税額は630万円×6,000万円/1億=378万円、C及びDにそれぞれ課税される相続税額は630万円×2,000万円/1億=126万円となります。
なお、このケースでBが相続税の配偶者控除を受けることができる場合には、Bに相続税は課税されません。