被相続人が亡くなった場合、残された家族の仲が良い場合には、相続で争いになることはまずありません。

しかし、兄弟同士が疎遠であったり、兄弟仲がよくない場合には、相続を巡ってしばしば争いが起きます。

以下では、この相続を巡る争いについて考えてみます。

相続をめぐる争いの一例

被相続人の財産が、土地と建物のみの場合には、相続争いが起きやすいと言われています。

例えば、Aさん、Aさんの妻Bさん、Aさんの長男Cさん、Aさんの次男Dさんの4人家族で、Aさんが亡くなり相続が開始したとします。

CさんはAB夫婦と同居しており、亡くなるまでAさんの介護をしておりました。

一方、Dさんは、高校卒業後、家を出て、その後はほとんど実家に帰ることはありませんでした。

この場合、Cさんが、Aさんの土地と建物を相続により取得したいと思うのは当然です。

しかし、父の土地と建物の名義を直そうとすると、Dさんが、土地と建物を売却して、売却代金の法定相続分をもらいたいと言って、兄への不動産の名義変更に同意しないとします。

Cさんは、親の介護を全然しないDさんによって、土地と家屋を出ていかなくなるわけですから、当然に猛反対します。

法的にはDさんの主張は正しい。

この問題は、一見すると、親の面倒を見ないDさんが無理な要求をしているようにも思えます。

しかし、法定相続分は、Bさん1/2、Cさん1/4、Dさん1/4ですから、Aさんの主な財産が居住用の不動産のみの場合、不動産を売却してその代金をBCDの各法定相続分で分けるということは、Aさんの遺言が無い限り、法律的には問題はありません。

被相続人が遺言を残していない場合、一度、法定相続による相続を行い、それに対して、相続人が不満の場合には、遺産分割協議を行い、最終的な相続分を定めることになっています。

その遺産分割の場で、Dさんが法定相続分の遺産分割を主張することは、むしろ自然のことといえます

相続争いを防止するためには、遺言書の作成が有効

このように遺産争いが発生しそうな場合には、被相続人が生前に遺言を残しておくと、相続争いの防止に役立ちます

上記の例では、Aさんが、自分を介護してくれたCさんに居住用不動産を相続させ、その他の財産はDさんに相続させる、という遺言書を残していれば、相続争いが起こる可能性はほとんどなくなります。

相続争いを防止するためには、普段から家族仲が良いことも重要

また、相続争いを防ぐには、相続が発生しそうになってからではなく、普段から、親兄弟が仲良くしていることも非常に重要です。

繰り返しになりますが、兄弟間で仲が良い場合には、相続争いがほとんど起こらないということを、十分に理解しておく必要があります。

まとめ

相続争いを阻止するためには、

  1. 遺言書を作成すること
  2. 家族仲が良いこと

の2つが有効です。

何よりの相続争いの防止策は、家族仲を良くすることです。

しかし、どうしても家族仲が良くなりそうにない場合は、遺言書を残しておいて、残された家族が争わないように対策を打っておきましょう。

相続税は早めに対応することで、大きく減税できる可能性があります。
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